ダブルダイヤモンド

UXデザインの対象領域

ダブルダイヤモンドは、2005年に英国デザイン協議会によって導入されたデザイン思考のフレームワークで、問題解決のためのプロセスを視覚的に表現したものです。このフレームワークは、2つのダイヤモンドを描くように発散と収束を行うことから名付けられました。

ダブルダイヤモンドの構成

ダブルダイヤモンドは、以下の4つのステップから構成されています。

  • 探索(Discover)
    幅広い視点から情報を収集し、問題の本質を理解するための発散的なプロセスです。
  • 定義(Define)
    探索段階で得た情報を基に、解決すべき重要な課題を絞り込む収束的なプロセスです。
  • 展開(Develop)
    定義した課題に対して、多様な解決策を広く検討する発散的なプロセスです。
  • 提供(Deliver)展開段階で提案された解決策の中から最も適切なものを選び出し、実行可能性を検証する収束的なプロセスです。

ダブルダイヤモンドのメリット

このフレームワークを使用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 各フェーズごとのタスクが明確になり、集中して取り組むことができる。
  • 参加者全員が「発散」と「収束」の違いを意識しながら作業できるため、チーム全体で同じ方向に向かって進むことができる。

具体例

地元のレストランの情報発信手段

  • 探索
    レストランのオーナーやスタッフ、お客さんへのインタビューを通じて、情報発信の現状や課題を理解。
    メニューやイベント情報の発信方法とお客さんの認知度を把握。
  • 定義
    課題を「SNS運用のためのリソース不足」として定義。
    お客さんが最新情報をリアルタイムで入手できないことや、情報更新が手間であることを特定。
  • 展開
    解決策として、Instagram投稿用テンプレート作成やSNS運用代行会社への依頼などを検討。
    多くのアイデアを出し、選択肢を広げる。
  • 提供
    最も適した解決策として、SNS投稿を容易にするテンプレートを作成し、実際にレストランで検証。
    検証結果に基づき、必要に応じて再度解決策を見直す

ダブルダイヤモンドは、デザイン思考における問題解決のプロセスを表すフレームワークです。発散と収束を繰り返すことで、問題の本質を深く理解し、創造的で効果的な解決策を生み出すことができます。①最初のダイヤモンドでは、ユーザーインタビューや観察などを通じて、問題を多角的に捉え、多様なアイデアを生成します。②次のダイヤモンドでは、それらのアイデアを評価し、優先順位付けを行い、最適な解決策に絞り込んでいきます。このプロセスは、ユーザー中心の視点に基づいて、チームで協力しながら行われます。ダブルダイヤモンドは、単なるデザインプロセスだけでなく、複雑な問題に対して革新的な解決策を見つけるための強力なツールです。

松岡 号介

人はなぜその行動を選ぶのか?――そんな問いへの好奇心から、使いやすさだけでなく「選ばれる体験」をデザインしています。HCD-Net認定人間中心設計専門家/行動経済学1級。感性と論理のあいだを行き来しながら、UIの美しさとUXの納得感を両立させる設計を心がけています。2025年4月からは慶應義塾大学通信課程で哲学・心理・社会を学び直し中。デザインと人間理解を深め、より本質的な価値提供を目指しています。

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松岡 号介

人はなぜその行動を選ぶのか?――そんな問いへの好奇心から、使いやすさだけでなく「選ばれる体験」をデザインしています。HCD-Net認定人間中心設計専門家/行動経済学1級。感性と論理のあいだを行き来しながら、UIの美しさとUXの納得感を両立させる設計を心がけています。2025年4月からは慶應義塾大学通信課程で哲学・心理・社会を学び直し中。デザインと人間理解を深め、より本質的な価値提供を目指しています。

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