③アイデア創出

UXデザインの対象領域

UXデザインにおけるアイデア創出、発散と収束は、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインのプロセスにおいて重要なステップです。これらのステップは、デザイン思考の一部として、問題解決や革新を促進するために使用されます。

アイデア創出

アイデア創出は、問題解決のための新しいアイデアを生み出すプロセスです。この段階では、クリエイティブな思考を活用し、多様な視点から多くのアイデアを生成します。ブレインストーミングやマインドマッピングなどの手法がよく用いられます。目的は、可能性を広げることであり、質よりも量を重視します。

発散

発散は、アイデア創出の一環として、多様な選択肢や視点を探求するプロセスです。この段階では、制約を取り払い、自由に考えることが奨励されます。発散的思考は、新しい視点や革新的な解決策を見つけるために重要です。発散と収束はオーバーラップすることがあり、新しい機会やアイデアの発想につながると指摘されています。

発散の戦略とプロセス

  1. 問い立て(How Might We)
    • IDEOが開発した方法で、「我々はどうすれば〇〇できるだろうか」という形で問いを立て、問題を定義します。これにより、アイデア出しの方向性が明確になり、多様な視点からの発想が促進されます。
  2. ブレインストーミング
    • 参加者が自由にアイデアを出し合うことで、多様な考えを集める手法です。このプロセスでは、批判や評価を一時的に控え、量を重視して多くのアイデアを生み出すことが重要です。
  3. デザインスプリント
    • 短期間で問題解決のためのプロトタイプを作成し、テストするプロセスです。発散フェーズでは、多くのアイデアを出し、それらを評価して絞り込む前段階として活用されます。
  4. ファシリテーション
    • 関係者の知恵とやる気を引き出し、合意形成を行うための技法です。UX/UIデザインにおいては、議論が課題発見段階にある場合にはユーザーの課題や価値に集中し、解決案作成段階では具体的なアイデアを論理的に説明することが求められます。

収束

収束は、多くのアイデアから最も有望なものを選び出し、それを具体化するプロセスです。この段階では、実現可能性や効果性を考慮しながら、選択肢を絞り込みます。意思決定が重要であり、選ばれたアイデアをさらに洗練させていきます。

収束のアプローチ

  1. 既存の収束手法の比較分析
    • 収束プロセスを改善するためには、まず既存の手法を理解し、それらを比較分析することが重要です。これにより、どの手法がUXデザインに適しているかを判断する基礎が築かれます。
  2. Pugh Concept Selectionの適用
    • 複数のアイデアを評価し、最も適したものを選択するための方法です。この手法をUXデザインに適用することで、どのような課題が生じるかを実験的に検証することができます。
  3. UXデザイナーへの調査
    • UXデザイナーへの調査を通じて、現在の収束方法における問題点や改善点を明らかにすることができます。これにより、実際の現場でどのような課題があるかを把握し、それに基づいた改善策を考案することが可能です。

影響と応用

これらのプロセスは、UXデザインだけでなく、ビジネス戦略や製品開発など多くの分野で応用されています。特に発散と収束のバランスが取れていることが成功の鍵となります。文化的背景や経済条件によっても影響されることがあり、それぞれのコンテキストに応じた適応が求められます。

このように、UXデザインにおけるアイデア創出、発散と収束は、革新と問題解決において不可欠な要素であり、それぞれが相互に関連し合いながらプロジェクトの成功に寄与します。

松岡 号介

人はなぜその行動を選ぶのか?――そんな問いへの好奇心から、使いやすさだけでなく「選ばれる体験」をデザインしています。HCD-Net認定人間中心設計専門家/行動経済学1級。感性と論理のあいだを行き来しながら、UIの美しさとUXの納得感を両立させる設計を心がけています。2025年4月からは慶應義塾大学通信課程で哲学・心理・社会を学び直し中。デザインと人間理解を深め、より本質的な価値提供を目指しています。

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松岡 号介

人はなぜその行動を選ぶのか?――そんな問いへの好奇心から、使いやすさだけでなく「選ばれる体験」をデザインしています。HCD-Net認定人間中心設計専門家/行動経済学1級。感性と論理のあいだを行き来しながら、UIの美しさとUXの納得感を両立させる設計を心がけています。2025年4月からは慶應義塾大学通信課程で哲学・心理・社会を学び直し中。デザインと人間理解を深め、より本質的な価値提供を目指しています。

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