ユーザビリティとは?

UXデザインの理論

ユーザビリティとは、製品やシステム、サービスの「使いやすさ」を表す概念です。具体的には、特定のユーザーが特定の目的を達成するために、どれだけ効果的、効率的、そして満足度高く使用できるかを示す度合いを指します。

ユーザビリティの主要要素

ユーザビリティは主に以下の3つの要素から構成されています

  1. 有効性: ユーザーが目的を達成できる度合い
  2. 効率性: 目的達成にかかる時間や労力の少なさ
  3. 満足度: ユーザーの主観的な使用感や快適さ

これらの要素を高い水準で満たす製品やサービスは、ユーザビリティが高いと評価されます。

ニールセンの5つのユーザビリティ特性

ニールセンの5つのユーザビリティ特性は、ウェブサイトやアプリケーションの使いやすさを評価するための重要な基準です。これらの特性は、ユーザーがシステムをどれだけ効果的に利用できるかを示します。

  1. 学習しやすさ (Learnability)
    • 学習しやすさは、ユーザーが新しいシステムや製品をどれだけ簡単に学び、使い始めることができるかを示します。直感的なインターフェースや明確な指示があることで、ユーザーは短時間で操作方法を習得できます。
    • 例えば、スマートフォンのアプリがシンプルなアイコンと明確なナビゲーションを提供することで、新規ユーザーがすぐに使いこなせるようになります。
  2. 効率性 (Efficiency)
    • 効率性は、ユーザーが目標を達成するために必要な時間や労力の少なさを指します。効率的なデザインは、ユーザーがタスクを迅速に完了できるようにサポートします。
    • 例えば、ショッピングサイトでのワンクリック購入機能は、ユーザーが迅速に商品を購入できるようにし、効率性を高めます。
  3. 記憶しやすさ (Memorability)
    • 記憶しやすさは、一度使用した後に再度使用する際に、どれだけ簡単に操作方法を思い出せるかを示します。良好なデザインは、ユーザーが長期間使用しなくても操作方法を容易に思い出せるようにします。
    • 例えば、よく使う機能が目立つ場所に配置されている場合、ユーザーは再度その機能を見つけやすくなります。
  4. 間違えにくさ (Errors)
    • 間違えにくさは、ユーザーが誤操作を行った際、その影響を最小限に抑えることができるかどうかを示します。エラーメッセージや確認ダイアログなどのフィードバック機能が充実していることで、ユーザーは誤りから容易に回復できます。
    • 例えば、ファイル削除時に確認メッセージが表示されることで、不意の削除を防ぐことができます。
  5. 主観的満足度 (Satisfaction)
    • 主観的満足度は、ユーザーが製品やシステムを使用した際の満足感や快適さを指します。デザインが美しく使いやすい場合、ユーザーはより高い満足感を得られます。
    • 例えば、美しいインターフェースとスムーズな操作感を持つアプリケーションは、ユーザーの満足度を高めます。

これらの特性は、製品やシステムの設計プロセスにおいて重要な指針となります。ノーマンの理論によれば、これらの特性を考慮することで、より良いユーザー体験を提供し、製品の成功につながります。

ユーザビリティの重要性

ユーザビリティが重視される理由には以下のようなものがあります

  1. SEO向上: ユーザビリティの高いサイトは滞在時間が長く、検索結果での上位表示に繋がりやすい
  2. コンバージョン率向上: ユーザーが目的を達成しやすくなり、購入や資料請求などの行動を取りやすくなる
  3. 顧客満足度向上: スムーズな利用体験がブランドイメージの向上や顧客ロイヤルティの醸成に繋がる

関連概念との違い

ユーザビリティは以下の概念と密接に関連していますが、それぞれ異なる意味を持ちます

  • アクセシビリティ
    幅広いユーザー(年齢、性別、健康状態など)が利用できる度合い
  • UI (User Interface)
    ユーザーと製品・サービスの接点となる部分
  • UX (User Experience)
    製品・サービスの使用を通じたユーザーの全体的な体験

美的ユーザビリティ効果

興味深い現象として、「美的ユーザビリティ効果」があります。これは、美しいデザインの製品やインターフェースが、実際の使いやすさとは無関係に、ユーザーに「使いやすそう」と感じさせる効果を指します。この効果は特に初回使用時や一時的な利用の場合に顕著に現れます。

ユーザビリティの向上は、製品やサービスの成功に直結する重要な要素であり、継続的な評価と改善が求められます。

松岡 号介

松岡 号介

広告代理店、Web制作会社、マーケティング会社、システム会社などの業界でWebデザイン、UI/UXデザインを経験し、2022年にフリーランスへ転身しました。中でもUXデザインの分野に強く惹かれ、体系的な学習を開始しました。具体的には認知工学(認知心理学)、行動経済学、HCD、デザイン思考、デザインシステムなど、UXデザインの実践に関する関連知識を深め、資格も取得しました。UXデザインに惹かれたポイントは、ユーザーの行動や心理を科学的に分析でき、再現性高く、より良いユーザー体験を提供できる点にあります。この強みを活かし、UXデザインの実践と普及に貢献したいと考えています。

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松岡 号介

松岡 号介

UXデザインに取り組みたいと考えているものの、マインドセットや理論が不足し、実践に移せていないデザイナーやデザイン組織の方々を対象に、伴走型のUXデザイン支援を行っています。認知工学(認知心理学)、行動経済学、HCD、デザイン思考、デザインシステムなど、UXデザインの実践に不可欠な知識を深く習得し、関連資格も取得しています。これら専門知識を活かし、UXデザインをより深く、そして楽しく学ぶことができるよう、初心者の方にもわかりやすく解説することを得意としています。

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