ノーマンの7段階サイクル

UXデザインの理論

ノーマンの7段階サイクルは、認知科学者D.A.ノーマンが提唱した人間の行為を理解するためのモデルです。このモデルは、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)のデザインに重要な洞察を提供します。

7段階の概要

ノーマンの7段階サイクルは以下の段階で構成されています。

  1. ゴールの形成
  2. 意図の形成(プラン)
  3. 行為の詳細化
  4. 行為の実行
  5. 外界の状態の知覚
  6. 知覚したものの解釈
  7. ゴールと結果の比較

これらの段階は、大きく3つの過程に分類されます:ゴール(1段階)、実行過程(2-4段階)、評価過程(5-7段階)。

各段階の詳細

  1. ゴールの形成
    • ゴールとは、達成したい状態や「何をしたいか」という明確な目的です。
  2. 意図の形成(プラン)
    • ゴールを達成するための具体的な行動計画を立てる段階です。
  3. 行為の詳細化
    • 意図を実現するための詳細な行動の流れを考える段階です。
  4. 行為の実行
    • 実際に行動を起こす段階です。
  5. 外界の状態の知覚
    • 行動の結果を観察し、外界の変化を認識する段階です。
  6. 知覚したものの解釈
    • 観察した結果を解釈し、理解する段階です。
  7. ゴールと結果の比較
    • 最初に設定したゴールと実際の結果を比較し、評価する段階です。

モデルの重要性

このモデルは、人間の行動を理解し、デザイン指針を与えるための有用な枠組みを提供します。UIやUXデザインにおいて、ユーザーの行動をこの7段階に沿って分析することで、より使いやすいインターフェースの設計が可能になります。

応用例

例えば、夕暮れ時に本を読んでいて部屋が暗くなった場合、以下のように7段階サイクルが適用されます。

  1. ゴール
    • 部屋をもっと明るくする
  2. 意図
    • 蛍光灯スタンドのスイッチを押す
  3. 詳細化
    • スタンドに手を伸ばし、スイッチの位置を確認する
  4. 実行
    • スイッチを押す
  5. 知覚
    • 部屋が明るくなったことを認識する
  6. 解釈
    • 明るさが十分かどうか判断する
  7. 比較
    • 目標の明るさと現在の明るさを比較する

このモデルを理解し適用することで、デザイナーはユーザーの行動をより深く理解し、より効果的なデザインソリューションを提供することができます。

松岡 号介

人はなぜその行動を選ぶのか?――そんな問いへの好奇心から、使いやすさだけでなく「選ばれる体験」をデザインしています。HCD-Net認定人間中心設計専門家/行動経済学1級。感性と論理のあいだを行き来しながら、UIの美しさとUXの納得感を両立させる設計を心がけています。2025年4月からは慶應義塾大学通信課程で哲学・心理・社会を学び直し中。デザインと人間理解を深め、より本質的な価値提供を目指しています。

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松岡 号介

人はなぜその行動を選ぶのか?――そんな問いへの好奇心から、使いやすさだけでなく「選ばれる体験」をデザインしています。HCD-Net認定人間中心設計専門家/行動経済学1級。感性と論理のあいだを行き来しながら、UIの美しさとUXの納得感を両立させる設計を心がけています。2025年4月からは慶應義塾大学通信課程で哲学・心理・社会を学び直し中。デザインと人間理解を深め、より本質的な価値提供を目指しています。

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